
『2つのフレームワークと日本』 森田 裕行
2025年5月14日
わたしの巻頭言は、なんだか巻頭言らしくないのですが・・・ご容赦ください・・・
今回、101回目の巻頭言とのこと、そういえば最近参加したある勉強会も101回目とのことでした。長く続くものには価値がある、そう感じるのは私だけでしょうか?
ところで、あまり関係ないことのように思える。個人的には価値ある「もの」を思い出しています。ある時期から使われ始めた「ものこと」の「こと」も含みますが、、、
1986年4月に私が社会人として初めて触れた、とあるフレームワークです。
「ナドラーモデル」という通称でしたが、組織開発コンサルティングで用いられるフレームワークでした。「組織の整合性モデル」が正式名称だったような・・・
copilotでは、「ナドラーモデル」の基本的な考え方が提示された後に・・・
「・・・組織の問題を特定し、改善策を見つけるためのツールとして活用されます。ただし、現代の変化の激しい環境には完全には適応しきれないという限界も指摘されています。」とのことですが、私自身はこのフレームワークは将来にわたって「使える」と確信しています。
本質を捉えれば、時間を超えて通用すると言う意味なのですが、この「ナドラーモデル」を議論するつもりはないので、話を進めます。
さて、環境エネルギー分野のキーワードに「セクターカップリング」があります。最近では日本でも論文で使われることが増えてきているようですが、EUではかなり前から「セクターカップリング」のフレームワークが提示されていました。
copilotでは、
ーーーーーーーーーーー
セクターカップリングとは、電力、熱、交通、産業などの異なるエネルギー消費部門を統合し、再生可能エネルギーの効率的な利用を目指す取り組みを指します。この方法では、部門間の連携を強化することで、エネルギーの無駄を減らし、脱炭素化を推進します.
例えば、電力を熱やガスに変換する「Power to X」技術や、電気自動車の蓄電池を活用して電力需給を調整する「Vehicle to X」技術が含まれます. ドイツなどでは、再エネの余剰電力を地域熱供給に活用する実証事業が進められています.この取り組みは、エネルギー効率の向上や気候変動対策において重要な役割を果たしています。
ーーーーーーーーーーー
と説明されます。
わたし自身がこのキーワードに初めて触れたのは「進化するエネルギービジネス(ポストFIT時代のドイツ)」と言う書籍の中で、村上淳氏(2018年出版、204ページ掲載)がドイツ再エネシンクタンクBEE社の概念図に加筆修正した「セクターカップリング」のフレームワークでした。
その当時、日本語で「セクターカップリング」を検索してもほとんどヒットしませんでした。その後、東北大学大学院の中田先生の研究発表が表示されるようになりますが、中田研究室の「地域エネルギー受給データベース」 https://energy-sustainability.jp はこのフレームワークと深く関わります。エネルギーに関するリアルデータとパラメーターから、日本全体、地域別、市町村別のエネルギー自給率などのシミュレーションが可能になっています。2013年に1%だった日本のエネルギー自給率が2020年には4%になり、パラメーターを動かすことで仮説に基づく未来のシミュレーションが可能になっています。
2022年には、ベルリン工科大学の「セクターカップリング」の講義資料が公開されました。https://nworbmot.org/courses/es-22/es-14-sector_coupling.pdf ここでは「セクターカップリング」がいくつかのフレームワークとともに詳細に解説されています。個人的には、将来像を提示しバックキャスティングで社会実装を進めるにはこういった「フレームワーク」が不可欠ではないかと考えています。
こういったものは残念ながら日本から提案されることは少ないようです。日本発の「フレームワーク」を目にしないと感じているのはわたしだけでしょうか?日本の課題がここにも示されている様に思えてなりません(2025年5月14日)。
※セクターカップリング概要
https://drive.google.com/file/d/1BXjzGv-oG-uZFBQWF7ckCEorcy3YxNZW/view?usp=sharing