
『地球温暖化と技術革新』 豊澄 智己
2024年7月10日
世界気象機関(WMO)は、世界の年間平均気温が今後5年以内にパリ協定の目標である「産業革命前からの1.5度上昇」を超える可能性が高いとする報告書を発表しました。これまでで最も暑かった2023年の記録(1.45度上昇)を更新する可能性も高く、温室効果ガスの一層の排出削減が必要と強調しています。WMOは英国の気象当局のデータを基に、2024年から2028年までの5年間の平均気温が1.1~1.9度高くなると予測し、この期間の少なくとも1年は80%の確率で1.5度を超えるとしています。また、5年間の平均で1.5度を超える確率も47%としています。WMOのバレット事務局次長は、現状がパリ協定の目標から大きく逸脱していると指摘し、早急な温室効果ガスの排出削減が必要だと警告しました。また、国連のグテーレス事務総長も化石燃料の使用を減らし、再生可能エネルギーの利用を推進すべきだと訴えました。気候変動対策の重要性が改めて示されています。
筆者の住む広島でも、6月末からの大雨は、2018年の豪雨災害を彷彿させられました。翌週からは梅雨の天気予報を完全に打ち破り、打って変わって灼熱の太陽が真夏かのごとく降り注いでいます。熱中症警戒アラートが日々発表されています。
さて、先日ネットでForbes Japanの「二酸化炭素に恋をした19歳の壮大な青写真 #30UNDER30」を見ました。少年は10歳で二酸化炭素に恋し、高校時代に「CARS-α」という二酸化炭素回収機を開発しました。彼は地球温暖化を食い止めるため、この装置で空気中の二酸化炭素を直接回収し、負の排出量を目指しています。村木風海は「30 UNDER 30 JAPAN 2019」のサイエンス部門で選出されました。彼の発想の転換は、二酸化炭素の排出をゼロにするのではなく、回収して削減することでした。
村木は小学生時代にホーキング博士の著書に影響を受け、火星のテラフォーミングを夢見て二酸化炭素の研究を開始しました。彼の研究は中学・高校時代に逆境に立たされながらも、支援を得て進展しました。2017年には「CARS-α」を完成させ、二酸化炭素をメタンに変換する実験にも成功しました。村木の目標は、CARS-αを全世界の家庭に普及させることで地球温暖化を食い止めることです。彼は身近な技術を使い、全人類を救う夢を持ち続けています。
我々が縮小型社会を選択する可能性はありません。技術革新こそが地球温暖化の解決策であることを今一度確認して邁進するのみです。(令和6年7月10日)