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『青春とは何か』 伊藤 由宣

相変わらず更なる異常気象が続く戦後76年の夏、3年前の自身の巻頭言を読み返してみた。データドリブン社会についての動向を記載しており、当時の関心事について改めて認識することができたが、その後ここ数年はコロナの影響による日々の活動が制約されるなどの変化とともに自身の興味も刻々と変化していると感じている。普段はSNS等での外部発信は限定的なこともあり、このような機会に最近感じること、思うことを少々記録として残させていただければと思う。

これまでの歴史を振り返ってみても明らかではあるが、世の中は常に変化するなか特にここ数年の技術進歩に基づく新たらしい便利なサービスやよりコンパクトなデバイスなどは日常生活スタイルを大きく変化をもたらすと同時に、世代間のギャップを生み出している。とりわけ経済成長の代償である気候変動による生活環境の変化はIPCCの報告を確認するまでもなく明らかに顕在化してきており人類は新たなチャレンジに立ち向かっていると言える。戦後日本の平和社会は新たな脅威に直面し始めており今後どのように社会が変化していくのかは全く予想がつかないが、この時代に生きるものとしては、極めて短サイクルで様々な経験ができることもあり刺激的でもあり、ある意味ありがたい話であるのかもしれない。また、企業経営も同様に事業環境の変化に伴って常に新たな対応を迫られつつも経済活動を続けているが、資本主義の限界説と同時にこれまでに無い新たな価値観も認知し始めている。サステナビリティという共通の目標感はありつつも今後、世界各国がどのような政治体制を目指し支持されていくかは未知数で、これまでに無い新たな社会が形成されていくことも想像される。何が幸福なのか、どう生きたいのか死にたいのか極めて哲学的な議論も求められているのかもしれない。

さて、当学会ではこれらの幅広い領域における学際で、さらに学術のみならず実業とのハイブリッドでの研究を志向しておりそもそも極めて難しいテーマを扱っていると考えられる。限られた資源の中で経済・環境・倫理の三位一体という現在のフレームから発展と収斂を繰り返すことで上手く整理していくことが求められている。ひとりで考えているとついついそもそも何を極めたいのか、研究とは何か、というような迷路に入り込んでしまいがちであるが同志と共に議論することで解決の糸口を見つけていきたいところだ。

年齢と共に経験を重ねる中で常に新たな発見や課題と遭遇し、様々な事に興味は尽きないものの、何事も思い通りにならないことが多いという難しさも体感してきている。相変わらず目指すべきゴールは常に遠のき日々試練の積み重ねではあるものの、今までのところ致命的な問題のない現状社会においてこのような活動に携われることに感謝し何かしらの成果を残していきたいものだ。この酷暑のなか10月の5度目の東京マラソンとソムリエ2次試験に向けそろそろ準備を始めなければならならないが体力維持も欠かせない課題のひとつである。次回の執筆タイミングでは宇宙旅行がLCCで気軽に楽しめている時代になっているのだろうか。 (2021年8月)