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『新会長に就任して 〜オーナーシップを持つ〜』 村井 秀樹

3月の理事会で新会長に選出され、5月24日武蔵野大学で開催された春季大会の会員総会で承認を得た。これまでの会長は、西澤潤一、三田和美、山本良一、中原秀樹、後藤敏彦、岡本享二である。私が7代目である。
本学会に、私は設立当初から参加している。25年前、法政大学で開催された設立総会の時の西澤潤一先生の熱い思いを今でも思い出す。「当学会は、環境・経済・倫理の三位一体となったサステナブル・マネジメントの理念確立を目指す」と満場の講堂で高らかに宣言された。ここからスタートしたのである。
本学会の特徴は、実務家と研究者とのハイブリッド学会である。企業等の実務家は、目の前の課題の解決策を提示する。研究者は、過去・現在と踏まえ、未来の方向性を予見し今後の方向性を示す。双方の考えは相反するものではなく、融合して次の飛躍に繋げる。
しかし、今日、この特徴が必ずしも十分に活かしきれていない。なぜか?学会という組織は、その大部分の活動がボランティアである。各会員は会費を払い、自主的に学会活動に参加する。参加しなくても罰則規定があるわけではない。また、個人の意思でいつでも退会することができる。ここが事業会社と大きく異なるところである。「柔らかい組織」ゆえ、ガバナンスが難しいのである。
この証左が学会の会員数の減少であり、学会活動(個別研究会、学会からの提言、会員諸氏による論文・著書の公表等)の低迷である。これに対して、2020年12月に「環境経営学会『次の10年委員会』答申〜次世代の環境経営学会のために〜」(委員長:川村雅彦)が後藤会長に提出された。さらに、2022年8月に「環境経営学会ビジョンワーキンググループ検討結果」(委員長:前川統一郎)が理事会に出され、公表されている。これらの答申に異議を挟む余地はない。しかし、それ以降も停滞感が漂っている。では根本的に何が欠落しているのか?どうすれば、状況が改善するのか?
それは、学会設立当初の「熱い想い」を再確認し、心に刻み、会員一人一人が「学会へのオーナーシップ」を持つ事である。会長、副会長、理事がそれぞれの役割を負い、実行するのは当然であるが、それ以上に、会員一人一人がオーナーシップを持ち、学会を「自分事」として腹落ちし、率先垂範して、個人研究や共同研究の成果の外部報告、公開講演、会員の勧誘等を行う。この個人の活動こそが、学会全体の評価(レピュテーション)を高めることになるのである。
スター的な会長のもとでのワンマン経営ではなく、会員全員参加型の組織としての力をつけ、評価を上げるという意識、これが「オーナーシップ」である。この意識の醸成のためには、風通しの良いオープンな情報共有と、心理的な安全性を感じる良好なコミュニケーションを確保できる「場」=「学会組織」の形成が不可欠である。
やるべきことはすでに俎上に載っている。あとは、熱いオーナーシップを持った会員皆さんの意欲次第である。

“Ask not what your country can do for you – ask what you can do for your country.”
By President Kennedy’s Inaugural Address, January 20, 1961

(2025年6月15日記)