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『災害と酷暑、そしてナッジ』 豊澄 智己

熊本地震から10年の節目を迎えた2026年。7月28日には熊本県熊本地方で再び大きな地震が発生いたしました。被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

一方で、今夏は全国各地で40度以上の「酷暑日」が観測されるなど、厳しい暑さが続いています。我が家のある広島県では幸いにも40度の大台には至っていないものの、連日の猛暑を通じ、気候変動が日々の暮らしや働き方、そして企業活動に直結する切実な課題であることを深く実感しております。

こうした中、最近改めて関心を寄せているのが行動経済学です。学生諸子とともにリチャード・セイラー、キャス・サンスティーン著『NUDGE 実践 行動経済学 完全版』を輪読いたしました。特に第14章「私たちの地球を救え」は、現代の環境課題に対して多くの視点を与えてくれます。

日常生活の中で環境負荷を自覚することは容易ではなく、個人の取り組みの成果も即座には現れません。だからこそ、情報の提示方法を工夫し、行動のフィードバックを行い、環境に優しい選択肢をデフォルトにするような、しなやかな「後押し」が求められます。

防災や気候変動対策において、理念や正論を唱えるだけでは人は動きません。人々や企業がごく自然に望ましい行動を選択できる社会の仕組みをどう構築するか。会員の皆様や諸先輩方のご教示をいただきながら、学生たちとともに探求を続けてまいりたいと存じます。(2026年8月6日)